第29回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作だそうです。今年です。

テーマは死刑制度、冤罪。被害者家族や加害者家族のそれぞれの心情を織り交ぜながら、どんでん返しもありながら進むミステリ小説です。

死刑制度の是非は難しすぎます。でも、真剣に考える必要があると思います。考えさせてくれる小説でした。
けっこうどんどん引き込まれたのですが、選評にもあるように登場人物が多くて誰が誰かちょっと混乱し、前の方を読み返したのは事実。新人さん?の作品ということでちょっと筋に無理がある?とも思いましたが、総じて興味深く読むことができました。

舞台が京都市で、しかも京阪沿線が多く登場するので、実家が京阪沿線の私にとっては、超ローカルな部分を鮮明にイメージできたので読みやすくなったと思います。
京阪特急が丹波橋や中書島に停車することに違和感・・・なんてことを書いてもその違和感に共感できる人は極わずかですし(京阪や阪急の特急、JRの新快速は昔は本当に特急だったのに、途中の駅でかなり停車するようになりました)。

それと、登場人物の台詞回し。京都弁ではそういう言い方をしない!おかしい!とけっこう思いました。途中からしょうがない・・とあきらめましたが。
こんなに京都にくわしいのに・・と思って、著者略歴を見たら大学は京都の私学(京阪沿線)ですが出身は三重でした。関西弁はみな同じように聞こえるかもしれませんが、京都、大阪、兵庫、和歌山・・それぞれ違うのです。府内・県内でも・・

京都の街をご存じない方が読んだらおもしろくない描写も多いと思いますが、中心テーマである死刑制度についてもっと国民ひとりひとりが考えるべきという著者の訴えは伝わってきました。

「雪冤」 大門 剛明
角川書店

雪冤:無実の罪をすすぎ晴らすこと