石牟礼道子氏と藤原新也氏の対談。

石牟礼氏の「苦海浄土」を昨夏読んだ。福島の状況とあまりにも似ていた。
この対談でも同様のことが語られている。

読んでいると、85歳の石牟礼氏の記憶に残る美しい水俣が浮かんでくる。
そしてすでに4代目となっている水俣病患者がいて、まだまだ増えていることも知った。

チッソのおかげで村は町となり、「市」となった。
チッソのおかげで「電気」が通った。皆喜んだ。
福島ではその「電気」の会社が・・・

放射能・・
現在進行中の福島。しかし・・
藤原氏は言う。
「広島長崎以降2400発の核実験が行われており・・・中略・・・そうすると単純計算してこの60年間に、福島、チェルノブイリ、スリーマイルの3回を加えて19回分の原発が爆発したことになる・・・中略・・・こうしてみると原発事故30回分の放射能がすでに地球に蔓延していると考えるのが順当ではないかと思う。」
そして藤原氏は個人のブログで公表するために、ベクレルモニターを購入し何十品目の食材の放射能値を測定しているそうだ。
そして、安全と思われているオージービーフが百数十ベクレルのセシウム数値をたたき出しているとのこと。
メカニズムは不明だが、こういったことから上記放射能がすでに地球を覆っているのではないかと氏は考えている。

きっと抵抗のある人はいるだろうとの前置きをして藤原氏は
「そういった大きな罪を犯した人類は滅亡しても仕方がない」と思っていると書かれている。

私もそう思う。
地球上の他の動植物に対しては、私も人類のひとりだ。申し訳ない。

石牟礼氏の「苦海浄土」は3部作だった。第4部・・胎児水俣病の患者が今50代〜60代。その世代のことについて書きたいそうだ。
自分でも(高齢及び病気で)「書けないかもしれない。」とおっしゃっているが・・ぜひこの世に残して欲しいと切に願っている。

なみだふるはな」 石牟礼道子・藤原新也
 河出書房新社