2015年2月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1678ページ
ナイス数:34ナイス

見残しの塔―周防国五重塔縁起 (文春文庫)見残しの塔―周防国五重塔縁起 (文春文庫)感想
著者70歳で「此のふでぬし弐七」と墨書きされた国宝の巻斗に出会い、14年間取材、執筆4年、推敲に1年を費やして89歳で上梓した本。それだけでも読む価値アリかと。この五重塔を建てた宮大工の一人【ふでぬし】である左右近(さうちか)は著者が創造した人物。最初は「人物相関図」を作って読まないとなかなかキツイ。そこを乗り切るとドンドンと読める感じ。
80代の著者とは思えないみずみずしい描写(失礼かな)もあるし、少し無理のあるところも。建築物の細かい名称は画像検索で確かめると面白い。読み応えのある1冊だった。
読了日:2月6日 著者:久木綾子

青い骨青い骨感想
1958年、著者が31歳の時に自費出版した初めての創作集。今回読んだのは著者が喜寿を迎えた年に五月書房より出版されたものである(その2年後に著者は他界)。六つの短編からなり、すべてが暗い。著者が20代〜30代の作品なのに。どれも「どうなる?これから」な感じで終わる。
戦後間もない時代と自身が重症の肺結核を患っていた影響が色濃く映し出されていると思った。その後の著者の作品と変わらない冷徹とも言える筆致や話の展開に引き込まれた。十分面白かった。「墓地の賑い」で、子どもの頃見た縁日の【ひよこ釣り】を思い出した。
読了日:2月10日 著者:吉村昭

光る壁画 (新潮文庫)光る壁画 (新潮文庫)感想
戦後間もない日本での「胃カメラ」開発記。豆電球やレンズ制作、レンズ磨きの職人の技術、ひらめきや偶然による産物。サック(←当時の呼び名。避妊用・風船状のアレ)までも部品に。胃カメラの前身「胃鏡」の説明とともに、内視鏡技術の進歩にはこういう歴史(時には犠牲)があったのだなぁと素直に感心した。
主役の技術者の【私生活】部分は著者の創作である。家を顧みない男、それほど自分の仕事に生きがいを感じ、没頭する男とすることで、この研究がいかに挑戦するに値するものであったかを浮き上がらせているように感じた。
読了日:2月17日 著者:吉村昭

プロジェクトX・挑戦者たち 4 ガンを探し出せプロジェクトX・挑戦者たち 4 ガンを探し出せ感想
Kindle版100円!吉村昭氏の「光る壁画」を読んだのを機に購入。NHKのプロジェクトXの胃カメラの回はなんとなく見た覚えアリ。ほんの30分ほどで読めそうな分量であり、あの番組の尺に対応しているのかなぁと思った。
思わず脳内で田口トモロヲ氏の声に変換して読んでしまう、プロジェクトXチックな文章でもあった。もしかして番組のナレーション原稿?(笑) 「光る壁画」ではどちらかというと脇役風だった杉浦氏がここでは宇治医師と並ぶ中心人物だった。Kindle版プロジェクトXは他にも出ているので色々読んでみよう。
読了日:2月18日

「ひかりごけ」事件―難破船長食人犯罪の真相 (新風舎文庫)「ひかりごけ」事件―難破船長食人犯罪の真相 (新風舎文庫)感想
知人に武田泰淳氏の「ひかりごけ」を紹介されたが、この事件をモデルに創作した戯曲と知りこちらを選んだ。船長、船長の奥さん、食べられたシゲさんの家族、近隣住民・・どの立場に自分を置き換えてみても想像ができない。
ただ、この船長が亡くなるまで悔やみ、重い重い十字架を背負い続けたことは理解した。【戦争】は船長の食人とは直接関係しない(戦争がなければこの難破もなかったかもしれないが)。その後の裁きや報道においては戦争が深く関係し、その点も著者は追及している。15年を費やした取材は、相応の作品を生み出している。
読了日:2月25日 著者:合田一道

百田尚樹『殉愛』の真実百田尚樹『殉愛』の真実感想
この世で最も辛く不幸なのは「子に先立たれる」ことだと思う。たかじんさんのお母様は長男をすでに亡くしていた。その上、たかじんさんの病気をメディアから知り、心配で心配でたまらなかったはずなのに、三番目の嫁から知らせが来たのは息子がお骨になってから。人生の最後に、こんな仕打ちを受けて亡くなるなんて。
ここに刑事罰はないかもしれないが、私はこれがたかじんさん三番目の嫁・さくらさんが犯した最大の罪だと思う。相続、利権、偽造メモ等々、すべてが何らかの決着を得ても、お母様のことは取り返しがつかない・・
読了日:2月28日 著者:角岡伸彦,西岡研介,家鋪渡,宝島「殉愛騒動」取材班


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